X線検出器の開発

 

観測ばかりではなく、機器開発の成果も詳細には論文一覧をご覧頂けば良いでしょう。ここでは、この研究室で進んできた機器開発の現状を概観してみます。X線で研究すると言うことは、X線の精密な画像やその色(波長)、その時間変動を正確に測定する必要があります。それらの意義は可視光でのデジカメやビデオを想像すれば、容易に理解できるでしょう。しかし、X線となると、ことは厄介です。私たちはCCD(電荷結合素子)をX線領域に使用できるように開発を進めてきました。CCDはやはりデジカメやビデオに使われていますから良く知られていますが、これをX線用に改良するのはさまざまな問題点があります。どんな素子が使えるかの調査から始めました。当初は、欧米の開発が先行していましたが、今では浜松ホトニクス社の協力の下に、世界でトップレベルのX線用CCDを開発し実用化しています。我々の開発した素子は、小惑星からのサンプルリターンを目指す「はやぶさ」に搭載され,2005年8月には、小惑星「イトカワ」に到着、その表面の画像や蛍光X線分析を行いました。はやぶさは、その後、幾多の試練を乗り越えて地球帰還を目指しています。

現在稼動中のX線観測衛星に引き続き、計画されているX線観測衛星の主要なものはASTRO-H (日)、IXO(欧米)などがあります。これらは従来までの観測成果を元に次世代での実現を目指して、技術開発が進んでいます。いずれも国際協力が不可欠になるものばかりです。具体的な計画として進んでいる日本の衛星には、MAXI(2009年打ち上げ)があります。これは、国際宇宙ステーションに搭載される最初の天体観測装置です。すでにスペースシャトルにより、日本の有人モジュール「きぼう」が国際宇宙ステーションに設置され、その後のスペースシャトルにより2009年にはMAXIはきぼうに取り付けられ、観測が始まります。その後、2013年にはX線観測衛星ASTRO-HがHIIAロケットにより打ち上げられます。大阪大学ではいずれもX線CCDカメラを担当しています。自分たちの手で設計し、組み上げ、較正したカメラによって誰も見たことがない世界を切り開こうとするものです。

我々は、将来や、天体観測以外への応用に備えてX線CCDの開発研究を進めています。CCDの問題点の一つには読み出し時間が掛かると言うことがあります。X線光子を一つ一つ検出することができるくらい雑音レベルを低くするには、読み出し速度を速めることができません。そこで、読み出し回路を専用のLSI化(アナログASIC)してしまおうとしています。現在、3mm四角のチップ上に読み出し回路を四系統作りました。その読み出し雑音レベルは、31μVと言う低雑音を達成しました。この後、実用化を目指して開発を進め、CCDのそばにたくさんのASICを配置して、実質的な読み出し速度を格段に改善することを目指しています。この他、薄いシンチレータをCCDに密着させて、検出エネルギー範囲を広げる研究も進んでおり、スーパーミラーと組み合わせて未知のブラックホールを探索するFFAST計画を進めています。このように、大阪大学はX線CCDに関して世界でトップレベルの開発実績を誇っています。

CCD専用ASIC開発ASIC.html
CCD素子
基礎開発CCD_su_zi_kai_fa.html
屈折コントラストX線撮像qu_zhekontorasuto_cuo_xiang.html
X線天文衛星
すざく/XIS
suzakuXIS.html
宇宙ステーション
MAXI/SSCMAXI_SSC.html
次期X線天文衛星
ASTRO-H/
SXIASTRO-H_SXI.html
小型衛星計画
FFAST/
SD-CCDFFAST_SD-CCD.html
大気球観測実験
PHENEXPHENEXtoha.html
小型衛星計画
PolariSPolariS.html