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X線観測observations

X線天体の観測

  0.01nmから10nm程度の波長の電磁波をX線と呼びます。X線は地球の大気で吸収されてしまうため、地上からは観測することができません。人工衛星や気球、ロケットに観測機器を搭載し、大気圏外 から観測する必要があります。太陽以外の天体からのX線放射は、当初、否定的な意見が多い中、1962年にロケット実験が行われ、宇宙はX線で明るく光っていることがわかりました。この実験を主導したジャコーニには、 この功績によりノーベル物理学賞が与えられています。その後の観測で、ブラックホールの発見、中性子星連星系の発見、銀河団高温プラズマの発見と、X線天文学は発展してきました。
現在の天文学では、全ての波長の電磁波で宇宙を観測しており、ほぼ全ての種類の天体から、X線が検出されています。木星のオーロラ起源のX線から、何10億光年の遠方の 超巨大ブラックホールからのX線まで観測対象はさまざまです。これら多くのケースで、X線を発生しているのは数百万度から数億度の超高温のプラズマです。 このような温度のプラズマを生成するためには、莫大なエネルギーが必要です。例えば、ブラックホールや中性子星の場合は、これらの天体周辺の強い重力が になっています。超新星残骸の場合は、超新星の爆発エネルギー、銀河団の場合には巨大な重力場(暗黒物質が主成分)ということになります。

様々な電磁波

波長域の境界は厳密なものではありません。http://spaceboy.nasda.go.jp/spacef/cosmic/materials/advanced/chapter1/1_2/1_2_1_a.html より


X線天文衛星による観測の実際

 それぞれの研究テーマやその成果は論文一覧、あるいは、右のリストからご覧頂くとして、ここでは研究活動の現状を概観してみます。人工衛星を実現するには、周到な準備と多くの人の協力が必要です。日本では、宇宙開発研究機構(JAXA)を中心にして、東京、名古屋、京都、大阪を始めとする多くの大学の研究者や大学院生が協力しています。また、日本だけではなく、欧米(NASA、MIT、MPE 、IKI、Tataなど)との国際協力も不可欠になっています。

 日本のあすか衛星、ドイツのROSAT衛星、アメリカのアインシュタイン衛星など、これまでに多数の衛星が観測したデータは、いろいろなところで公開されています。したがって、観測したい天体がこれらのデータベースにあれば、そのデータをダウンロードして、誰でも解析することができます。普通は解析するために必要な一通りのソフトも公開されています。

 しかし、宇宙物理学では、観測対象は時々刻々新しい様相を見せますし、観測装置のほうも次第に高性能化し、より進んだデータを取得できます。したがって、より新しい観測衛星で観測したくなります。現在、観測を行っているX線衛星としては、チャンドラ(米)、ニュートン(欧)そして日本のすざくなどがあります。これらを使って観測的研究を進めるには、優れた観測提案を研究者コミュニティーに承認させる必要があります。承認されれば、その提案に従った観測がなされ、提案者は一定期間(普通は一年)のデータ占有権が生じます。その間にデータ解析をして論文を作りましょう。研究を進めるには、すばるなど他波長の観測も必要になるでしょう。

 観測して新発見があれば、論文となります。何が新発見か、新発見に出くわしたときに見逃すことがないように、これまでに知られている事実をキッチリと整理しておく必要もあります。しかし、知られている事実に振り回されてもいけません。我々は、超新星残骸中の高温プラズマの進化や組成、X線パルサーの発見、X線新星の発見、銀河団中のガスの運動、ブラックホールの質量測定などいろいろな方面の観測論文を発表しています。

大阪大学X線天文グループ

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理学研究科F棟5階