ASTRO-E2衛星搭載 XISについて
ASTRO-E2(通称「すざく」)は2005年7月10日に打ち
上げられた、我が国5番目のX線天文衛星である。この
衛星は直径2.1mの八角柱の構造を基本とし、全長6.5m
の大きさを持つ。太陽パネルを広げた幅は、5.4mにも
達し、重量は1680kgにもなる。日本の科学衛星として
は、これまでにない大型衛星である。
すざく衛星の2つの大きな特徴として
- バックグラウンド(Non X-ray Background:NXB)が極めて低い
- 広帯域(0.3-600keV)のX線の観測
が挙げられる。
1つ目の特徴は、すざくが高度550kmの低周回軌道
を保っているために、地磁気によるシールドが存在し、
衛星に入射してくる宇宙線量が他の衛星よりも少いこと
が理由である。
2つ目の特徴は、5つの軟X線検出器と1つの硬X線検出器
が搭載されていることで広帯域(0.3-600keV)における観
測が可能なためである。5つの軟X線検出器は4つのXIS検
出器と1つのXRS検出器から構成され、0.2-12keVのエネ
ルギー帯域のX線を観測している。一方硬X線検出器は、
さらに高いエネルギー(10-600keV)のX線を観測するため
に開発された。すざくでは、XIS4台とHXDで同じ天体を
同時に観測することができる。
XIS(X-ray Imaging Spectrometer)はX線CCDカメラで、
0.2-12keVのエネルギー帯域のX線を観測している。
CCDとは「Charge Coupled Device(電荷結合素子)」の略称
で優れた位置分解能とエネルギー分解能を同時に併せも
ち、X線天文衛星の標準検出器となっている。
すざくのXISは4台のX線CCDカメラから構成され、天体の
撮像とX線スペクトルの取得を目的としている。また、
すざくのCCDには表面照射型(Frontside
Illuminated;FI)と裏面照射型(Backside
Illuminated;BI)があり、裏面照射型CCDでは表面照射型
CCDで検出しにくい低エネルギー側のX線に対して高い
検出効率を得ることができる。すざくは、3台の
FI-CCDと1台のBI-CCDを塔載している。
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