屈折コントラスト撮像

屈折コントラスト撮像

X線を用いた撮像には、被写体を壊さずに内部の様子を見ることができるという大きな利点があります。しかし、レントゲン撮影のようにX線の吸収率を利用した従来型の撮像法では、骨や金属といった原子番号の大きい物質の撮像が容易な反面、血管や生体軟組織といった透過率の大きな物質を鮮明に撮像できないという欠点がありました。

これに対して屈折コントラスト撮像法は、X線が物質を透過する際わずかに屈折する効果を利用するため、これまで撮像困難だった原子番号の小さい物質についても鮮明な画像を得ることが可能です。X線が透過率の高い物質を通過した場合、強度はほとんど変化しませんが位相のずれ(=屈折)は必ず起ります。そこで、この屈折の効果を検出すれば原理的には原子番号に依らず撮像を行えることになります。ただし、X線の屈折角は可視光のそれに比べて非常に小さいため、鮮明な撮像を行うためには発光点の微小な光源と位置分解能のよい検出器が必要です。

当研究室では、直径数ミクロン程度の微小な発光点を持つマイクロフォーカスX線源に、天文衛星塔載用の直接撮像型X線CCDを組み合わせることで、全長約1mのコンパクトな屈折コントラスト撮像系を構築し、位置分解能の向上等を目指して実験を行っています。

以下に屈折コントラスト法による撮像の一例を紹介します。これ以外にも様々な被写体の撮像を行いました。その他の画像は屈折コントラスト画像集を参照してください。

屈折コントラスト法による蚊の撮像例


論文

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